Tortellini・・・

僕の働いているお店(イタリアのモデナにある、Osteria francescana)では月に何度かTortelliniという詰め物パスタの仕込みに行く。レストランでは仕込まない。リディアというおばあちゃんの家に行く。彼女はTortelliniの達人。ならば彼女と一緒に作るほうが色々と学べるだろう。
Tortelliniはモデナの郷土料理。詰め物パスタの一種で、中に子牛肉、豚肉、生ハム、モルタデッラをミンチにかけたものを詰める。去勢したおんどりのブロードと一緒に食べるのが古くからのスタイル。
総勢10人のスタッフとお手伝いのおばあちゃん3人とリディア先生の14人でこの日は12キロのTortelliniを作った。
リディアはいつも言う・・・
「詰め物はたくさん詰めるのよ!じゃないと詰め物の味がしなくなる。」
「パスタは薄すぎてはだめ!茹でた時にパスタの触感も大事だから!」
「切り捨てのパスタや詰め物は絶対に捨てないで!後でみんなで食べるから!」
「喋ってばかりいないで、手を動かしなさい!」
何気ない言葉の中に僕たちが忘れてはいけないことが隠れている。
作る事の大切さ・・・食べる人への思い・・・物を大切に・・・集中・・・
これは料理の伝統を学びつつも、その心やコツを継承している。
これこそが今の人には大切な事だと思う。料理とはそんなことから始まるような気がする。それを自分なりに昇華する。
リディアはそう言う意味で本当の先生だ。
伝統を継承する事がなければ、新しいものは生まれないのかもしれない。